政府は、より多くの患者の医療へのアクセスを実現にするために、医薬品と医療機器への支出を抑えようとしている、しかし、企業がイノベーションを継続するためのインセンティブが必要である。適正価格とは何か?世界保健機関(WHO)はこの問題について広範な研究を行っており、ごく最近では、グローバル市場での透明性を改善することを決議した。このことは、国内の価格規制に影響を与える可能性がある。
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WHOによる医療製品の国内価格への影響の可能性
医薬品および医療機器の価格設定は、ホット・トピックである。政府は、患者が生活を向上させ、多くの場合命を救う製品へのアクセスを確実にするための試みとして、医療支出の削減をますます求めている。同時に、企業がイノベーションを継続するために、そのインセンティブを維持しなければならない。価格設定に関する質問はいつも同じ質問に帰着する:「適切」価格または「公正」価格とは何か。
企業は国内規制に焦点を当てがちで、国際的な動向を見落としてしまうことがあるが、企業の未来の価格設定方法に影響を与える可能性がある。
健康に関する世界標準の設定機関である世界保健機関(WHO)は、近年「公正価格」の議論に積極的に取り組んできた。WHOは、2017年および2019年に2回の公正価格フォーラムを共同開催し、「公正な」価格とは何か、「公正な」価格ではないとはどういうことか、という問題に光を当てている。また、2019年のフォーラムでは、参加者は何が公正価格であるかを定義することの難しさを認めた。この問題をより詳細に解決するために、WHOは最近、価格設定の特定分野に焦点を当てて、短期および中期で達成可能な事柄を決定する、一連の技術ワーキンググループを設立した。さらに審議を支援するために、WHOは「公正価格」の定義や価格設定のさまざまな分野を検討する技術作業グループへの委任事項など、多くの質問について意見を求める調査を開始した。
一方、WHOの最高意思決定機関である2019年世界保健総会へ出席した閣僚らは、医薬品、ワクチン、その他の健康製品の市場の透明性の改善に関する決議(透明性決議)を採択した。決議は、各国政府への勧告として、国内規制の基礎としてしばしば使用される。透明性決議のスコープは、医薬品だけでなく、「ワクチン、医療機器、診断、福祉機器、細胞治療および遺伝子治療、ならびにその他の健康技術」すべてを網羅する。
透明性決議は、各国政府に対し、健康製品の正味価格ならびに臨床試験の集計結果データおよび費用に関する情報の一般への共有を目的として、「適切な」国内規制を採用することを求める。決議はまた、各国政府に対し、売上高、価格、販売量、マーケティング費用、補助金およびインセンティブについてのサプライヤーからの情報提供の改善を協働して進めるよう求める。
企業は、国内規制の進展に焦点を当てるだけでなく、国際的な視点で建設的な取り組みを行わなければ、価格規制に影響を与える機会を失うことになりかねないであろう。